校長ブログ

見えない距離は近く

カテゴリ:校長のつぶやき

2020.04.21

4月16日、新型コロナ感染に関する「緊急事態宣言」が全国に拡大されました。専門家は、人と人との接触の8割削減を提言。非常に厳しい設定目標ですが、皆で力を合わせて頑張るしかありません。

さて、感染者数と同様に気になる数字を見つけました。OECDが発表した「社会的孤立調査」です。そのデータを見てみると、コロナウイルスの感染者数が低い国が社会的孤立調査の上位にきているのです。メキシコが20カ国中第2位で14%、日本が第1位で15%となっています。ちなみに米国3%で日本の5分の1、スペインは日本の3分の1、イタリアは2分の1、ドイツも5分の1。つまり、孤立が進んでいた国の感染率が低いことがこの調査から窺えます。

3月2日を境に子どもたちが学校から離れ、随分と長い時間が経過しました。大人だけでなく子どもたちも感染拡大を防ぐために、「物理的な距離」を空ける努力をしてくれています。しかし、OECDの調査結果で明らかになった「心の社会的距離」が日本社会では非常に大きな課題であることがしばらく頭から離れません。

休校延長が決定し、子どもたちや保護者の方々と直にお会いすることができなくなっています。始業式や入学式が延期になったことで、子どもたちは担任や教科担当に会うこともできていません。

紙ベースの課題配布に加え、学校再開までに何かもっとお互いの距離を近づけることができる取組はできないものかと随分悩みました。学びの保障とコミュニケーションの担保を目標とする中で、本校としてはどんなことが可能なのか、短い準備期間の中で考えました。その結果、当面の間以下のような取組を行っています。

@郵送による課題のお届け
A学校ホームページを活用した課題や動画配信
BYouTubeやseesawを用いたオンライン対応

seesawは、学習の成果物等を写真や動画で提出することができ、また双方向のやりとりができるという魅力があります。学校長である私から「自己紹介を担任の先生に送ろう」というメッセージを送り、課題を始めました。また、YouTubeは、基本的に限定公開とし、各学年の掲示板にてアドレスをお知らせし、学びの動画を視聴していただいています。


学校の再開を待ち望んでもらえるような課題や動画作成をどの教員も心がけてくれていて、画面の先にいる子どもたちを想像しながら、学年ごとに連携をとって作成に臨んでいます。

実際、カメラを向けられると緊張もしますので、セリフが飛んでしまったり、表情がこわばったり。中には上手くお話ができて安堵していたら、録音ボタンが押されてなかったりなど様々なハプニングを乗り越えながら、試行錯誤を繰り返しています。

撮影を続けていく中で、カメラアングル、背景、人数、撮影時間、教材の見せ方などお互いにフィードバックをし合い、日に日に技術とチームワークが高まっている印象を受けます。

「三密」を十分に意識しながらも、楽しそうに動画作成に没頭する教員たちを眺めていると、本当に子どもたちのことが大好きで、より良いものを届けようとする姿勢が伝わります。オンラインでの動画配信やコミュニケーションという新しいことに嬉々として取り組む風土こそが本校が求めている21世紀教育の本質のひとつなのではないかと実感しながら、彼らの様子を観察する日々です。

ただ、今大切なことは感染を防ぎ、命を守ること。オンラインの取組に対して保護者の皆さまにはご無理のない範囲でとお願いしております。教職員も同様です。

休校期間中、常に念頭に置いておきたいことは、学校が再開が決定された際、誰もが学校に元気に戻ってくること。その「復活」の日を信じ、その日まで香里ヌヴェール小学校に関わる全ての人々の「心の社会的距離」が離れることなく、毎日を過ごしてもらえることをいつも願っています。

あなたたちで本当に良かった

カテゴリ:校長のつぶやき

2020.03.17

本日無事に香里ヌヴェール学院小学校の卒業式が挙行されました。コロナウイルスの影響で、在校生の参列はなく、ご家族や来賓の方々のご参加にも制限を設けさせて頂きました。そんな条件下での実施でしたが、結果的には予想以上に素晴らしい式を行うことができました。6年生、本当に凄かったよ!

3月2日から休講措置のため、校舎からは子どもたちの姿が消え、昨日までとても寂しい時間を過ごしていました。しかし、今日、久しぶりに6年生の元気な声を耳にし、学校に活気が戻ってきました。

しかし、教職員の中には一抹の不安を感じていた者もいたかもしれません。なぜなら、例年は1週間以上卒業式練習を行なっていますが、今年は式直前に行なった約1時間のリハーサルのみ。一通り流れは確認しましたが、本番うまく行くかどうかは誰にも分からず、我々にできることは子どもたちを信じることだけでした。

私は人生で初めての式辞という大役を仰せつかっていましたが、素直に包み隠さず、この1年間6年生に対して感じてきたことを伝えようと決めていました。

4月、新米学校長として本校に赴任。右も左も分からずいましたが、日々の学校生活や行事でリーダーシップや思いやりを見せてくれる6年生に幾度となく助けられました。運動会や音楽発表会をはじめ人が集まる場所で彼らが見せる他者への気配りにいつも感心していました。

幸運なことに、6月の長崎への修学旅行と3月の沖縄への卒業旅行に同行。中学生を引率しているのではないかと感じるほど、メリハリをつけて行動できる彼らの自立心や探究心を目にするたび、彼らへの信頼が増していきました。

卒業旅行から戻り、卒業まで数週間、出前授業などで何か6年生に絡めないかと、学年の教員たちと相談をしていました。そんな折、コロナウイルスによる休講措置。胸にぽっかり穴が開きました。もっともっと4月からお話をしたり、遊んだりしていれば良かったと後悔ばかりが胸に去来する日々。しかし、だからこそ卒業式の式辞では、分かりやすい言葉で、飾らず本心を伝えようと決めていました。

また休校中、6年の学年団はいつも、子どもたちのことを考え、「どうやったら子どもたちが喜んでくれるだろうか?」と腐心し工夫を重ね、せっせと準備を進めていました。そんな彼らの思いにせめて式辞の内容で報いようとも心に決めていました。

そして今日、参列した誰もが目を見張るほど完成度の高い卒業式。わずか直前1時間のリハーサルしかこなさなかったとはとても思えない6年生が見せた集中力と学年のまとまり。この1年間、いや入学から6年間で得た学びや成長が、休校措置という逆境など物ともせずに、結実したことを目の当たりにしました。何より誇りに思えたのは、6年生と学年団の教員の関わりや関係性でした。小学校教育にバイアスがかかっておらず、純粋な目で彼らを眺めていた私は、このチームの中に「他人の心」を見つけていました。

「他人の心」とは、キリスト教教育やホームレス支援に従事されている奥田知志さんの文章から得た言葉です。コロナウイルス蔓延の最中、トイレットペーパーの買い占めが日本だけでなく世界中で起こってしまっています。とても大人気ない醜い行動だと思うのですが、なぜ大の大人が大挙して買い占めという行動を取ってしまうのでしょうか。奥田さんは彼らの中に「他人の心」がないからだと仰っておられます。文章の中でまず灰谷健次郎の「太陽の子」を引用されています。

「いい人ほど勝手な人間になれないから、つらくて苦しいのや。人間が動物と違うところは、他人の痛みを自分の痛みのように感じてしまうところなんや。ひょっとすれば、いい人というのは、自分の他にどれだけ自分以外の人間が住んでいるかということで決まるのやないやろうか。」

トイレットペーパーの買い占めに多くの人々が走ったのは、自分がトイレットペーパーが無くなったらただただ困るから。そして、自分以外の人も困るのではないかという気持ちにはなれなかった。つまり、自分の心の中に「他人」がいなかったからではないでしょうか。心の中に「他人」を持たない人が増えすぎてしまったからではないでしょうか。

対して卒業生である6年生は、本校の教育の中でこの「他人の心」を少しずつ育てていたから、上述したように、下級生のことを慮ったり、学校生活で他者のために動くことができたのではないでしょうか。また、学年団の担任たちの心の中には、6年生の児童たちの心がいつも存在していたから、彼らの幸せや笑顔に繋がる授業や活動をいつも考えることができたのではないでしょうか。

こんなことを考えながら、今日の式辞には色んな想いを詰めました。6年生、学年団、そして支えてくださった保護者の皆さまへのメッセージを5分のスピーチに凝縮。途中、思わず涙腺が緩んでしまったのは、もっと関わりたかっという後悔、担任団の子どもたちへの想いに対する共感、そして何より「今年の6年生が君たちで良かった・・・。」という誇りと安堵感。

式の後も正門の前で写真撮影する子どもたちを眺め、時間いっぱいまで名残惜しそうに学年団の教員たちと過ごす卒業生を見送ることができました。小学校での初めての卒業式でこんな大きな感動を味わえるなんて。4月から様々な出来事がありましたけれど、年度末に幸せに包まれました。

そして、最後にもう一度言わせてください。

今年の6年生があなたたちで本当に良かった。

中学生になってもいつでも小学校に遊びにきてください。待ってます。卒業おめでとう!

機会ロスから子どもたちを守るためのテクノロジー

カテゴリ:校長のつぶやき

2020.03.11

3月2日(月)から休校措置が取られ、校舎には学童保育で登校する児童以外には大人の姿しか見当たりません。学校とは子どもたちがいてこその環境だということを日々思い知らされています。

いま一番苦しいのは、おともだちと会えず、自由に外で遊べず、不自由な生活を強いられている子どもたちだと思います。コロナウイルスの感染拡大はとどまることを知らず、世界規模となっていますが、できるだけ早く鎮静化し、平和な日常生活が戻ることを心から願っています。

さて、こんな時こそテクノロジーを駆使して苦境を乗り越え、ピンチをチャンスに変えることができれば、子どもたちを機会ロスから守ってあげることができます。一斉休校に対応したオンラインプログラム一覧をご紹介します。お子さまをお持ちの方々のお役に立てれば幸いです。

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一斉休校となり、オンラインのインフラがここ数週間で整備されている学校や会社などがありますが、以前から登校し辛い子どもたちを救うためにこういった技術は試されるべきものであって、マジョリティのためだけに人々が行動していることにはある種の違和感も感じてしまいます。

この際、ICTのみならず、Children Firstを念頭に学校や社会の制度設計を見直し、改良を重ねていくことが求められているのではないかと強く感じています。

第1回プロジェクションマッピングコンテスト開催

カテゴリ:イベント

2020.02.16

参加校募集中です。遠隔応募、参加も可能です!



<小学生プロジェクションマッピング大会 in 香里ヌヴェール学院小学校>

(イベント概要)
 香里ヌヴェール学院小学校体育館内壁に
 各参加校の小学生が作成したプロジェクションマッピング投影を行い
 作品の発表会を行います。

 予告動画:https://youtu.be/MJGiCHeXwW8
(参加資格)小学校の児童による作品である事
(実施目的)児童の創造力、ICT活用力を育成するために
      学校ICTを活用しプロジェクションマッピングによる発表会を行う。
(実施時期)3月7日(土)14時〜16時
(実施場所)香里ヌヴェール学院体育館内→内壁に投影
 *時間及び天候に関係なくイベント実施可能
(作成ツール)自由
 *但し運営から配布されたkeynoteスライドに動画(音声付)を貼り付け提出要
(参加)遠隔地からの作品提出/当日の遠隔参加も可能です。
(動画についての条件)テーマ:未来をイメージした映像作品
 ・提出期限:3月4日(水)
 ・1学校からの複数作品応募も可能
 ・各作品3分以内
 ・配布されたkeynoteに動画を貼り付けて提出
 ・動画のマスターも合わせて提出要
 ・動画には音声/BGMを含みます。 
  *動画と音声/BGMの別々の提出はご遠慮願います。
 ・動画は外部公開させて頂きます。
 ・使用される映像及び音楽素材についてはオリジナルのものまたは
  著作権フリーの物をご使用ください。
 
 <参加申込リンク>*参加希望/検討中の学校様は下記からお申し込みください
  申込期限:2月20日(木)
  https://forms.gle/GCbDPZucyJ6afVKE7
 
 <本件お問い合わせ先>
  香里ヌヴェール学院小学校 ICT担当田中
  E-mail:hitanaka@seibo.ed.jp
*運営支援:一般社団法人センセイワーク 住ノ江

ヤングアメリカンズ参加者からの感想(工藤勇一先生・千代田区麹町中学校校長)

カテゴリ:イベント

2020.02.07



前回の校長ブログでお知らせしましたヤングアメリカンズ(YA)のワークショップですが、2月6日(木)段階で130名の参加希望を頂いております。ありがとうございます。

さて、YAの素晴らしさについて他校で開催された先生からの声が届いておりますので、ご紹介いたします。千代田区立麹町中学校校長の工藤勇一先生のメッセージです。

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「YAにあふれる人を喜ばせる歌とダンス」

私が初めてYAに出会ったのは、2016年のことです。奈良県の西大和学園高校を訪問した際、ちょうどワークショップが開催されていたのを見学しました。とてもダンスをしそうもない子が楽しそうに踊り、ハイタッチして自己開示していた。麹町中の生徒にも経験させたいと思いました。

私は、歌やダンスの楽しさは、一生付き合う友だちのようなものだと思っています。上手とか下手とか関係ありません。一生懸命人のために歌い踊った経験は、「それが誰かが喜んでくれた」という原点になります。芸能は人に見せて喜んでもらうためにある。それがYAにはあふれています。

ところが今の学校教育では、音楽や体育で成績をつけてしまいます。それでは評価されるための表現になり、楽しさを教えきることは難しいでしょう。YAは、歌やダンスの楽しさを全身で伝えてくれるところが素晴らしいと思います。

脳神経科学の最近の知見によれば、危険を感じ安心できない環境では、脳の感情をコントロールする部分や、自分をコントロールする部分が動かなくなると言われています。日本の学校教育は、それらの部分を動かなくなるようにし、自己肯定感を削ってしまってはいないでしょうか。間違いや失敗を恐れ、主体的に行動できないという課題をもつ子どもが中にはいます。身に付いてしまった失敗への恐れを、安心安全な環境の中でチャレンジしていけるように変えたいと思っています。

また日本の学校教育では、生徒同士が「協力する・団結する」こと自体が目標になってしまっています。ですがYAのWSでは、「3日かけてみんなで一つのショーを作る」という目標を掲げます。みんなで共通の目標に向かうなかで、「協力・団結の素晴らしさ」を結果的に体験できるようになっており、「仲がいいことと協力することは、実は別次元の話」だと気付けます。何か目的があるから人は協力するのであって、協力のための協力はナンセンスです。

WSでは、これまでの学校生活では歌ったり踊ったりする姿が想像できなかった生徒が、思い切り体を動かしていました。自分を表現するきっかけを待っていたのではないかと感じました。信頼があるからこそ、誰もが挑戦できる。生徒たちはWSで、それを感じてくれたのではないでしょうか。何年か後、社会に出て自分の足で歩くようになっても、今回のようにチャレンジして欲しいと思います。

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この文章はYA主催団体NPO法人じぶん未来クラブさんの許可を得て、掲載しております。2019年のYAパンフレットに掲載されたものです。

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