香里ヌヴェール学院小学校

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校長ブログ

2020.03.17

あなたたちで本当に良かった

本日無事に香里ヌヴェール学院小学校の卒業式が挙行されました。コロナウイルスの影響で、在校生の参列はなく、ご家族や来賓の方々のご参加にも制限を設けさせて頂きました。そんな条件下での実施でしたが、結果的には予想以上に素晴らしい式を行うことができました。6年生、本当に凄かったよ!

3月2日から休講措置のため、校舎からは子どもたちの姿が消え、昨日までとても寂しい時間を過ごしていました。しかし、今日、久しぶりに6年生の元気な声を耳にし、学校に活気が戻ってきました。

しかし、教職員の中には一抹の不安を感じていた者もいたかもしれません。なぜなら、例年は1週間以上卒業式練習を行なっていますが、今年は式直前に行なった約1時間のリハーサルのみ。一通り流れは確認しましたが、本番うまく行くかどうかは誰にも分からず、我々にできることは子どもたちを信じることだけでした。

私は人生で初めての式辞という大役を仰せつかっていましたが、素直に包み隠さず、この1年間6年生に対して感じてきたことを伝えようと決めていました。

4月、新米学校長として本校に赴任。右も左も分からずいましたが、日々の学校生活や行事でリーダーシップや思いやりを見せてくれる6年生に幾度となく助けられました。運動会や音楽発表会をはじめ人が集まる場所で彼らが見せる他者への気配りにいつも感心していました。

幸運なことに、6月の長崎への修学旅行と3月の沖縄への卒業旅行に同行。中学生を引率しているのではないかと感じるほど、メリハリをつけて行動できる彼らの自立心や探究心を目にするたび、彼らへの信頼が増していきました。

卒業旅行から戻り、卒業まで数週間、出前授業などで何か6年生に絡めないかと、学年の教員たちと相談をしていました。そんな折、コロナウイルスによる休講措置。胸にぽっかり穴が開きました。もっともっと4月からお話をしたり、遊んだりしていれば良かったと後悔ばかりが胸に去来する日々。しかし、だからこそ卒業式の式辞では、分かりやすい言葉で、飾らず本心を伝えようと決めていました。

また休校中、6年の学年団はいつも、子どもたちのことを考え、「どうやったら子どもたちが喜んでくれるだろうか?」と腐心し工夫を重ね、せっせと準備を進めていました。そんな彼らの思いにせめて式辞の内容で報いようとも心に決めていました。

そして今日、参列した誰もが目を見張るほど完成度の高い卒業式。わずか直前1時間のリハーサルしかこなさなかったとはとても思えない6年生が見せた集中力と学年のまとまり。この1年間、いや入学から6年間で得た学びや成長が、休校措置という逆境など物ともせずに、結実したことを目の当たりにしました。何より誇りに思えたのは、6年生と学年団の教員の関わりや関係性でした。小学校教育にバイアスがかかっておらず、純粋な目で彼らを眺めていた私は、このチームの中に「他人の心」を見つけていました。

「他人の心」とは、キリスト教教育やホームレス支援に従事されている奥田知志さんの文章から得た言葉です。コロナウイルス蔓延の最中、トイレットペーパーの買い占めが日本だけでなく世界中で起こってしまっています。とても大人気ない醜い行動だと思うのですが、なぜ大の大人が大挙して買い占めという行動を取ってしまうのでしょうか。奥田さんは彼らの中に「他人の心」がないからだと仰っておられます。文章の中でまず灰谷健次郎の「太陽の子」を引用されています。

「いい人ほど勝手な人間になれないから、つらくて苦しいのや。人間が動物と違うところは、他人の痛みを自分の痛みのように感じてしまうところなんや。ひょっとすれば、いい人というのは、自分の他にどれだけ自分以外の人間が住んでいるかということで決まるのやないやろうか。」

トイレットペーパーの買い占めに多くの人々が走ったのは、自分がトイレットペーパーが無くなったらただただ困るから。そして、自分以外の人も困るのではないかという気持ちにはなれなかった。つまり、自分の心の中に「他人」がいなかったからではないでしょうか。心の中に「他人」を持たない人が増えすぎてしまったからではないでしょうか。

対して卒業生である6年生は、本校の教育の中でこの「他人の心」を少しずつ育てていたから、上述したように、下級生のことを慮ったり、学校生活で他者のために動くことができたのではないでしょうか。また、学年団の担任たちの心の中には、6年生の児童たちの心がいつも存在していたから、彼らの幸せや笑顔に繋がる授業や活動をいつも考えることができたのではないでしょうか。

こんなことを考えながら、今日の式辞には色んな想いを詰めました。6年生、学年団、そして支えてくださった保護者の皆さまへのメッセージを5分のスピーチに凝縮。途中、思わず涙腺が緩んでしまったのは、もっと関わりたかっという後悔、担任団の子どもたちへの想いに対する共感、そして何より「今年の6年生が君たちで良かった・・・。」という誇りと安堵感。

式の後も正門の前で写真撮影する子どもたちを眺め、時間いっぱいまで名残惜しそうに学年団の教員たちと過ごす卒業生を見送ることができました。小学校での初めての卒業式でこんな大きな感動を味わえるなんて。4月から様々な出来事がありましたけれど、年度末に幸せに包まれました。

そして、最後にもう一度言わせてください。

今年の6年生があなたたちで本当に良かった。

中学生になってもいつでも小学校に遊びにきてください。待ってます。卒業おめでとう!

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