学校法人聖母女学院創立100周年記念誌刊行について

謹啓 立夏の候、皆様におかれましては、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。平素は本学院の教育活動に対して格別のご高配を賜り、心より御礼申し上げます。

さて、学校法人聖母女学院は、2023年に創立100周年を迎えました。これもひとえに、今日まで本学院を支えてくださった多くの方々、今尚お力添えいただいております多くの皆様のご支援の賜です。重ねて御礼申し上げます。

振り返りますと、設立母体であるフランスの「ヌヴェール愛徳及びキリスト教的教育修道会」に現地の司教から日本への宣教の依頼があったのは1868年。そこから修道会で祈りと議論が重ねられ、46年後の1914年、日本に修道会を設立することが決議されました。言葉も文化風土も異なる極東の日本への宣教は、祖国との生涯の決別であり、命がけの事業であったことは想像に難くありません。この年に勃発した第一次世界大戦やスペイン風邪の世界的大流行により派遣が延期される事態に見舞われ、ようやく1921年、創立者メール・マリー・クロチルド・リュチニエをはじめとする7人のシスターが約40日間の長い船旅を経て神戸に上陸。日本でのシスター方の献身的な宣教へのスピリットは、多くの方々の賛同と支援を集め、1923年、大阪・玉造の地で聖母マリアのみ名をいただいた「聖母女学院」が産声をあげるまでになりました。

このシスター方の宣教へのスピリットを土台として、先人が紡いでこられた弛みない「真理の探究」こそが、今日までの聖母女学院の発展の原動力であることは言うまでもありません。創立100周年という節目に、本学院の建学の精神に明確に記されている「教育を通して、真理を探究し」が聖母女学院の教育の目的であること、真に人々のために貢献できる人間の育成の手段であることを再確認し、これからも未来を見据え「真に平和な世界とはどのような世界か。」「その実現のために自分はどのように生きるべきか。」を考え実践できる人間を育成する学園を目指す覚悟です。

創立100周年記念事業「紡ぎゆく学び さらなる高みへ」を執り行ってまいりましたが、その一環として「創立100周年記念誌」を発刊いたしましたので、ここにお届けさせていただきます。ご多忙中とは存じますが、「学校法人 聖母女学院」の100年の軌跡をご高覧いただければ幸甚に存じます。今後とも尚一層のご支援、ご鞭撻のほど、宜しくお願い申し上げます

謹白  

 

学校法人聖母女学院 

理事長 赤野 孝一