校長ブログ

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2025年09月12日

「閑さや岩にしみいる蝉の声」

昔から俳句の季語に出てくるほど、セミは馴染みのある昆虫です。また、セミは長生きといえば「えっ?」と思われる方も多いでしょう。確かに、成虫では2~3週間程度の寿命ですが、種類により幼虫では5年前後土の中で過ごすことを考えると昆虫界の長生き王者かもしれません。

さて、ニュース等でご存じの方もおいでかと思いますが、セミの世界では各地で昨年以上に異常事態が起こっているようです。

一つは学校での今年の初鳴きは7月7日のクマゼミで、例年初鳴き一番バッターのニイニイゼミはその後も姿を見せてくれなかったことです。

二つ目はあまりにセミの数が少なかったことです。今年は空梅雨と猛暑で土中が乾燥して硬かったため、ニイニイゼミのような小型の掘る力が弱い幼虫は地上に出てこられず、大型で比較的掘る力の強いクマゼミが一番バッターで出てきたのかもしれません。

また、セミといえば忘れられない思い出が一つ。松尾芭蕉が「奥の細道」で詠んだ表題の句です。この句は1689年7月上旬(新暦)に山形市で詠まれました。昨年、5年生に「このセミは何ゼミ?」と聞くと、「クマゼミ」、「アブラゼミ」、「ヒグラシ」、「ツクツクボウシ」といった答えが出ました。

多分知っているセミの名前を言ってくれたと思いますが、最後に出たのが「進研ゼミ」でした。一同大爆笑、「おーい、座布団10枚!!!」。来年は一匹くらい「シ~ンケン」と鳴いてくれる新種のセミがいたら…(新種は無理としても、一人くらい桜並木で鳴いてくれるかもしれませんね)。

なお、地球温暖化もない山形県のこの時期は現在よりも気温が低いこと、セミ出現の初期であること、しみいるような鳴き声を考えると「ニイニイゼミ」ではないかと伝えました。