先輩たちに聞く、聖母小の6年間

ピアニスト
深見 まどか さん
聖母学院幼稚園卒園。聖母学院小学校、聖母学院中学校卒業後、東京藝術大学附属音楽高等学校、同大学を経て、パリ国立高等音楽院修士課程を首席修了。青山音楽賞新人賞、ロンティボー国際コンクール、ブゾーニ国際コンクールなど多数入賞。関西フィル、東京フィル、パリ室内管との協演や、ドビュッシーピアノ作品全曲リサイタル、NHK-Eテレ・NHK-FMなどのメディア出演、アルバムリリース(レコード芸術誌特選盤)など、国内外で活躍中。京都新聞「日本人の忘れもの2023」に寄稿。2024年春、3枚目となるアルバムをリリース。日仏を拠点に演奏活動を行いながら、大阪教育大学音楽表現コースピアノ科にて後進の育成にも力を注いでいる。
小学校生活では、困っている人を見たら助けること、というのがごく当たり前のように身に付く環境で、ほかでは経験し得ない貴重な経験の積み重ねだったと思います。
小学校時代で印象に残っているのは、カトリックの教えや先生方の細やかなご指導、のびのびと学べる環境です。
定期的に拝聴できたシスターや神父様のお話もそうですし、他にもみんなで参加していたボランティア活動やプルタブアルミ缶運動、レスキュー隊など、聖母小学校での生活では、困っている人を見たら助けること、というのがごく当たり前のように身に付く環境で、ほかでは経験し得ない貴重な経験の積み重ねだったと思います。
ルワンダの内紛後の悲惨な現状も生の講演で聞くことができ、なぜみんなが悲しむ戦争をするのか、自分は手も足もあるのにルワンダには足を失った人が大勢いるのか、と疑問がたえなかったのを覚えています。
世界中にある格差の現状を小学生にして知ることができ、ピアノを弾いていて人の役に立っていきたい、という意識を持てたことも、私の現在のピアニスト生活の中で大切な指標になっています。
また、学校で友達と喧嘩をしたりした時は、先生がどちらかを叱ったり、というのではなくホームルームの時にみんなで解決方法を考えて、という感じだったので、誰かを悲しませることはしない、みんなで助け合い、という意識は自然と身についていたのだと思います。学校生活で困ったことや悩むことがあっても、その都度、先生方が相談に乗ってくださるので、のびのびと、心も安定した環境で学校生活を楽しむことができ、本当にありがたかったです。
聖母で培った隣人愛精神が支えとなり、自分が音楽でどうやって人に奉仕できるか、ということを考え続け、自分自身との戦いや自己表現に集中することができました。
音楽を通して人の役に立っていきたい、という志が聖母小学校での生活で培われたおかげで、国際舞台での競争で困難な場面に直面しても、常に音楽で奉仕するためにはどうすれば良いか?を問い続けることができ、他人との競争ではなく、自分自身との戦いと思いながら音楽と関わり続けることができました。
留学中はとにかく何も考えず邁進していくことに必死で、受験やコンクールなど様々な競争と隣り合わせでしたが、他者との比較のためにピアノを弾いている状況に、どこか違和感を持っていました。しかし、聖母で培った隣人愛精神が支えとなり、自分が音楽でどうやって人に奉仕できるか、ということを考え続けられたので、自分自身との戦いや自己表現に集中することができました。
高校で東京に出た際に、聖母で出会ったシスターを頼って洗礼を受けられたことも、その後ずっと大きな心の支えになっています。
大学で学生を指導している時も感じますが、私自身が経験してきたことを生徒に共有して学生達とコミュニケーションが取れること、そして成長している様子に接することができてとても幸せです。
演奏活動や指導を通して、ヨーロッパやアメリカ、アジア、アフリカなど、様々な人種の方と接する機会がありますが、音楽は世界共通言語であり、言葉の通じない国にいっても、子供たちの表情などから音楽を通して喜びや悲しみを共有できて、音楽を通して人々と感動を分かち合えるということは、非常に稀有なことだと日々感じています。
こんな感想を持つことが出来るのも、聖母学院、特に小学校時代にしっかりと、しかしごく自然にカトリック教育を受けられたおかげだと思っています。
語学力をもっと磨き、世界中で演奏や指導によって貢献をし続けたいと思います。
少し専門的なことになりますが、クラシック音楽の名曲をお客さまや子供達の前で演奏するときに、同時に日本人の作曲家の作品や西洋音楽の隠れた作品を発掘して紹介をしていきたいと思っています。
特に、フランス近代や日本人の作品、現代音楽作品の分野では知られざる名作が多数存在しており、運悪く演奏される機会が少ないから知られていないだけで、出会ってみると感動するような美しい作品がたくさんあります。
そんな隠れた秀作を世に出す使命は、演奏家に託されていると感じていますし、知られざる作品や作曲家の紹介をし続けながらクラシック音楽の魅力をもっと広めていくことで、世の中に貢献していきたいと思っています。
他にも、専門的に取り組んでいるプロジェクトとしては演奏会やレコーディングなど様々な予定がありますが、大きな最終目標としては、小学校の卒業文集に書いていたことのうち、実現がまだできていないことー「ピアノを弾くことや聞くことのできない世界中の貧しい子供たちに夢や希望を与える演奏をする」です。
語学力をもっと磨き、世界中で演奏や指導によって貢献をし続けたいと思います。
Messege
聖母での学びは、将来どの職業を選んだとしても、きっとみんなの大切な財産になるはず。
これからたくさんの素晴らしい体験をしていくでしょう、その中で悔しい思いや悲しい思いもするでしょう、
でも失敗を恐れずにチャレンジして努力をしていれば、必ず神様は見てくださっています!
そしていつも夢を大きく持ち、自分に正直に、人に優しく、多くの人に幸せを与えられますように!